イラオラ新体制のリバプール、「ヘヴィメタ」復活へ3つの変化と残留リスク
リバプールに新たな風が吹き始めている。アルネ・スロット前監督からアンドニ・イラオラ新監督へとバトンが渡され、プレシーズン4試合を終えた時点で、早くもそのカラーが色濃く反映され始めた。イギリスメディア『BBC』の戦術分析をもとに、イラオラ体制のリバプールに訪れた3つの変化と、変わらない“弱点”を紐解いていく。
まず大きな変化は、ボール保持から「自らカウンターを作り出す」攻撃スタイルだ。GKと4人のDF、さらに1〜2人のセントラルMFが低い位置からショートパスで組み立て、相手を引き出した瞬間、一気に前方へボールを送り込む。相手が強くプレスに来れば、アリソンやママルダシュヴィリが迷わずロングボールを選択。セカンドボールを拾い、乱れた相手の中央を突く。かつてイラオラがボーンマスで見せた高速縦カウンターを、リバプール仕様に落とし込もうとしている。結果はサンダーランド、レクサムに勝利した一方、リーズとモナコには2点リードを守れず逆転負け。まだ完成形ではないが、指向性ははっきりしている。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 2つ目の変化は、サイドでの流動的な「三角形」の形成だ。恩師マルセロ・ビエルサの影響を受け、選手を特定のポジションに固定せず、サイドバック、ウイング、MFが絶えず入れ替わる。左サイドではングモハやガクポに加え、10番のヴィルツも流動的に絡み、2対2や3対3の局面をあえて作り出して相手のマークを混乱させる。ビエルサ直系の“カオス”がここにある。
3つ目は、より明確となったハイプレスだ。プレシーズンでは4-4-2の中盤ダイヤモンド型を多用。相手にショートパスを促した後、一気に強度を上げて中央でボールを奪う。その鍵を握るのが、ドミニク・ソボスライだ。昨季は様々なポジションを経験したが、イラオラ体制では主にセントラルMFに固定。彼が前へ出た背後をアンカーや最終ラインがカバーする連動型守備のキーマンに抜擢されている。
しかし、変わらない“弱点”も露呈した。攻撃時には両SBと中盤2人、前線3人が高い位置を取り、残るのはCB2人と守備的MF1人だけになる場面が頻発。ボールロスト直後の高速カウンターに対する脆さは、まさにスロット体制から続く課題だ。
イラオラ自身、攻撃の「カオス」を維持しつつ試合をコントロールする必要性を認めるが、『BBC』は彼のスタイルを考慮すれば、攻撃時に6〜7人を前線に送り込む姿勢自体が大きく変わる可能性は低いと見る。リスクを抑えるカギは、ボールロスト直後の強烈なカウンタープレス。しかし現段階では完成には至っておらず、イラオラもモナコ戦後に「求める強度を維持できていない」とさらなる改善を誓った。
まだ4試合という限られたサンプルだが、イラオラの刻印は確実に刻まれている。高速かつ縦へのダイナミズムとハイプレス。そして「カオス」と「コントロール」の両立が求められる中、日本代表MF遠藤航がどのような役割を担うのか。新シーズンのリバプール、注目せずにはいられない。
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