聖隷クリストファー・高部陸、甲子園初戦で散るも元ヤクルト編成部長が絶賛「4年後はドラ1競合」
第108回全国高校野球選手権の1回戦で、聖隷クリストファーのプロ注目左腕・高部陸(3年)が衝撃の敗退を喫した。6日、甲子園で行われた佐野日大との一戦。9回129球を投げ抜き、6安打10奪三振の好投を見せながら、0-1で涙をのんだ。
試合の命運を分けたのは、0-0で迎えた7回の守備だった。二死から三塁ゴロを打ち取ったかに見えたが、三塁手・峯田琉生が弾いてしまい、慌てた送球もそれる。さらに続く打者に三遊間を破られて一、二塁のピンチ。ここで代打・高橋丞が打ち上げたフライを、センターの鈴木悠陽が追いついたものの、グラブに当ててまさかの落球。走者が生還し、均衡が破れた。甲子園でのナイター初体験、浜風や二遊間の影が影響したとみられる。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 打線は佐野日大の好投手・鈴木有に完封を許し、結果的にこの1点が決勝点に。自責点0のまま、高部は1回戦で甲子園を去ることになった。
悔しさを隠せない高部は、「粘りきれなかった。うまく調整できなかった自分が悪かった」と仲間を責めず、責任を一身に背負った。静岡県大会で6試合、32回2/3を投げた疲労もあり、この日は最速144キロと本来の150キロには及ばなかった。
それでも立ち上がりは見事だった。先頭打者に四球を与えるも、牽制で誘い出してアウト。5回二死までノーヒットピッチングを続け、5回の二死満塁のピンチでは、元PL学園監督・中村順司氏の孫である中村盛汰をチェンジアップで空振り三振に仕留めた。6回には三者連続三振。アウトコースへのストレートで見逃し三振、スライダーで連続空振り三振と圧巻の投球を披露した。
この投球に、元ヤクルト編成部長で故・野村克也氏を支えた松井優典氏は驚きを隠さない。
「昨年夏から大きな成長を見せた。まだ線の細さを感じるが、体が出来上がってきていた。ケツ回りから下半身がたくましくなった。リリースの鋭さと、バッターへの威圧感も素晴らしい。スピードガンは144キロでも、ベース板上でボールが強く、打者の体感は150キロ近かったはず。6安打のうち芯で打たれたのは1本くらい。フォロースルーもきっちりできており、ボールにパワーを伝達できている。クイックを随所に入れ、ピッチングに変化をつけることもできていた。スライダーを含めて制球もいい。ソフトバンクの前田悠伍、元ソフトバンク・巨人の杉内俊哉に重なる」
前田悠伍は2023年ドラフトで大阪桐蔭から3球団が競合した左腕で、今季ソフトバンクで9勝0敗、防御率1.93とブレイク中。松井氏は「現時点でもドラフト1位候補。順調に進めば4年後は競合する可能性も」と太鼓判を押した。
高部は試合後に大学進学を表明。甲子園の魔物に泣いたが、将来のドラフトをにらむ逸材として、その名を確実に全国に刻んだ。
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